積算ソフトとは?
比較の仕方とおすすめ製品、
無料ソフトとの違い【建設業・土木工事向け】
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建設や土木工事に特化した積算ソフトは、工事費用を効率的かつ正確に行うためのソフトウェアです。
建設業界では人口減少や少子高齢化の影響に加え、業界特有の時間外労働の上限規制や、週休2日制の対象となる公共工事の拡大などが重なり、人手不足が常態化しています。そのため、業務において省力化や効率化に取り組む企業が増えています。
本記事では、自社に合った積算ソフトを選び、業務の効率化を図るための比較ポイントや、無料ソフトとの違いについて解説します。
見積を作成する積算ソフトとは?
見積を作成する積算ソフトは、建設・土木・建築といった工事の分野において、設計図書や積算基準をもとに、工事費の根拠を明確に算出するためのソフトウェアです。
公共工事では、国や自治体が定めた基準に基づき、適正な工事費(予定価格)を導き出す役割を果たします。民間工事では、発注者の希望や予算に応じて、柔軟な見積もりが求められることが多く、価格交渉のための資料としても活用されます。
一方、積算ソフトと混同されやすいのが「見積ソフト」です。
見積ソフト |
主に民間工事や商談用の見積書の作成を目的としたツールです。 |
---|---|
積算ソフト |
公共工事や土木工事をはじめとした案件で、積算基準や市場単価に基づいて詳細な工事費を積み上げるツールです。 |
とくに建設・土木・建築業界では、人手不足や技術継承の課題に直面する中、積算作業の効率化や属人化の防止が重要視されています。積算ソフトの導入は、こうした課題の解決に貢献し、業務の効率化だけでなく、正確かつ適正な工事費の算出にも繋がります。
ここでは、積算ソフトの基本的な仕組みや用途、土木・建設業向け/建築業向けといった種類別の特徴、さらに公共工事と民間工事における使われ方の違いなど、具体例を交えてわかりやすく解説します。
積算ソフトとは?
積算ソフトは、設計図書や積算基準などをもとに、工事にかかる費用を正確に算出するソフトウェアです。建設・土木・建築分野で広く利用されています。
公共工事では、国や自治体の定めた積算基準(歩掛、設計労務単価、材料単価など)を適用して、工事費の根拠を明確にします。必要経費(労務費・材料費・機械経費など)を積み上げて総工費を算出します。
一方、民間工事では、発注者と施工者が自由に条件を決められるため、柔軟な対応が可能です。積算ソフトは、見積作成や原価管理、利益の確保などに活用されます。
積算ソフトの導入メリット
積算ソフトを導入する主なメリットは次の3つです。
- 積算業務の効率化
手作業より大幅に時間を短縮できます。特に、複数の案件を並行して進める場合に効果を発揮します。 - 精度の向上とミスの防止
最新の積算基準や単価に基づいて計算するため、人的ミスを防ぎ、精度の高い積算が可能になります。 - 積算の属人化を防止
積算業務は経験や知識が必要なため、特定の担当者に依存しがちです。しかし、積算ソフトを導入することで業務を標準化し、誰でも一定の精度で積算できるようになります。
積算ソフトの種類
建設・土木・建築の分野では、積算ソフトが用途に応じて、「土木・建設系」と「建築系」の2種類に大きく分けられます。
土木・建設工事向けの積算ソフト
土木・建設工事向けの積算ソフトは、土工、舗装、橋梁などの工種に対応したデータと機能を備え、設計書をもとに条件を選択することで工事価格を自動計算できます。このような積算ソフトは、公共工事と民間工事のどちらにも対応できますが、目的や積算の基準が異なります。
区分 | 発注者 | 基準 | 積算ソフトの使用例 |
---|---|---|---|
公共工事 | 国や自治体 | 積算基準(歩掛・単価等) | 入札時の予定価格の算出、根拠資料の作成 |
民間工事 | 企業や個人 | 各社で設定 | 見積作成、原価管理、価格調整 |
公共工事の積算ソフトに搭載されているデータを活用すれば市場価格がベースとなることから、根拠が明確な民間工事の積算を行うことができます。
一方、民間工事用の積算ソフトでは国や自治体の基準に従うデータ等が整備されていないため、適正かつ正確な積算を求められる公共工事の積算は難しいと言えます。
また、土木・建設工事向けの積算ソフトでは、建築(営繕)、電気、機械設備などのデータを追加することで、総合的な積算も可能になる積算ソフトもあります。
建築工事向けの積算ソフト
建築工事向けの積算ソフトは、用途や建物の種別によって、「一般建築工事向け」と「公共建築工事向け」に大きく分けられます。それぞれ参照する単価や基準が異なるため、目的に応じたソフトの使い分けが必要です。
一般建築工事向けの積算ソフト
一般建築工事向けの積算ソフトは、主に戸建住宅や中小規模の民間建築物を対象としています。図面から柱や梁などの部材、内装・外装材の面積や数量を拾い出し、登録された資材単価をもとに工事費を算出するのが特徴です。住宅会社や工務店では、自社仕様にあわせた単価設定に基づいて、積算や見積作成を効率化できます。
また、建築CAD「A’s(エース)」のように、図面の作成から部材の数量拾い、積算までを一貫して行えるソフトもあります。手作業による拾い出しの手間を減らし、効率的に工事費を算出できます。
公共建築工事向けの積算ソフト
公共建築工事向けの積算ソフトは、市役所、学校、図書館など、国や自治体が発注する建物を対象としています。設計図書に基づき、国の積算基準や標準市場単価を適用して、適正な工事費を算出します。入札書類の作成や設計・監理業務を行う建設コンサルタント、建築設計事務所、建設会社などで幅広く利用されています。
なお、土木積算ソフト「ゴールデンリバー」は、営繕オプションを追加することで公共建築工事の積算にも対応可能です。土木・建築の両分野に対応した積算が求められる場面でも、柔軟な活用が期待できます。
土木・建設工事の積算ソフトは何ができるのか?主な機能
では、積算ソフトにはどのような機能があり、どのようにこれらのメリットにつながるのでしょうか?
重視したい主な機能は次の5つです。
定期的なプログラムとデータ更新機能で、最新環境のもと積算ができる
積算ソフトでは、国や自治体が公表する最新の積算基準(歩掛・経費など)や単価データをもとに積算を行います。一般的に、積算基準は年に1回、単価データは毎月変わるため、定期的なデータ提供により、常に最新の情報で積算でき、精度を高めることができます。
歩掛の自動計算機能で、経験値やスキルに関係なく積算できる
工種ごとに定められた歩掛(ぶがかり)をもとに、必要な労務費・材料費・機械経費を自動で算出します。これにより、経験の浅い担当者でも正確な積算が可能になります。
設計書データの取り込み機能で、費目や数量を自動入力できる
発注者が提供するPDFやExcel形式の電子設計書データを積算ソフトに取り込み、積算のベースとして活用できます。これにより、費目や数量、積算条件などの手入力の手間を省き、入力ミスを防ぐことができます。
また、積算ソフトによっては、設計書だけでなく、仕様書や単価表、見積書などの電子データも合わせて取り込むことが可能です。
参照元の表示機能で、単価や歩掛の根拠を明確にできる
算出された工事費の根拠として、単価データは建設物価や積算資料の参照号やページ番号、歩掛は基準書のページ番号などを確認できます。これにより、発注者との協議や価格交渉の際にも、積算の正当性を説明しやすくなります。
出力機能で、内訳書や集計表を作成できる
積算結果をもとに、発注機関や用途に応じたフォーマットで工事内訳書や明細書、単価表、集計表などを作成できます。
また、PDFやExcel形式にも出力にも対応しているため、電子入札にも活用できます。
土木・建設工事の積算ソフトを選ぶときの選び方・比較の仕方
積算ソフトは、公共工事の積算業務の効率化と精度向上に不可欠なツールです。そのため、単に「価格が安い」「有名なメーカーだから」といった理由で選ぶのではなく、自社の積算担当のスキルや業務範囲、積算体制などに合ったソフトを選び、導入後のサポートも含めて総合的に比較することが重要です。
ここでは、積算ソフトを選ぶ際の重要な比較ポイントを解説します。
最新の積算基準・単価に対応しているかで比較すること
積算ソフトの基本は、発注機関である国や自治体が定める積算基準に準拠していることです。
公共工事の入札では、積算基準に基づいた正確な工事費の算出が求められるため、基準の更新頻度や対応範囲を確認することが重要です。
積算基準に対応していないソフトでは正確な積算ができません。また、最新の積算基準や単価が適用されていない積算ソフトでは、誤った金額で積算するリスクが高まります。
以下のポイントをチェックしましょう。
- 最新の積算基準・単価が自動更新されるか?
- 国土交通省(土木・港湾・営繕など)・農林水産省・NEXCO・各自治体などの積算基準に対応しているか?
- 地域ごとの労務単価・材料単価・歩掛が正確に反映されるか?
操作性がよく、直感的に使えるかで比較すること
積算は現場条件や補正などを考慮して入力する必要があり、視覚的に分かりやすい操作画面であることが重要です。
入力の手間が少なく、直感的に操作できるソフトを選ぶことは、積算業務を効率よく進めることができます。
積算は大量のデータを扱うため、操作性が悪いと作業効率が大幅に低下します。直感的に操作できないと習得にも時間がかかり、入力や修正作業が煩雑になることで、積算ミスを招いたり、積算時間を要したり、業務負担の増加につながります。
以下のポイントをチェックしましょう。
- 設計書データを簡単に取り込めるか?(PDF・Excel・電子入札データ対応)
- 過去の積算データや入力履歴を再利用できるか?
- 工種ごとの歩掛・単価入力がスムーズにできるか?
- 入力や操作ミスが発生した際に、解決法や確認を促すメッセージが表示されるか?
積算の自動化機能が充実しているかで比較すること
正確な工事費を算出するためには、自動化機能も重要なポイントです。
積算の手間を減らし、人的ミスを防ぐため、自動化機能が充実しているソフトを選ぶのがベストです。
積算ミスは利益の損失や入札不調・入札不落につながります。歩掛や単価の手入力が多いと、人為的ミスが発生しやすく、必要な経費の計算にも時間がかかります。
また、設計変更が発生した際に素早く修正できないと、業務が停滞するリスクも高まります。
以下のポイントをチェックしましょう。
- 歩掛や単価を自動計算できるか?
- 工種ごとに必要な経費(共通仮設費・現場管理費など)を自動で積み上げられるか?
- 設計変更時に積算データを素早く修正できるか?
サポート体制がしっかりしているかで比較すること
積算ソフトは、継続的に使用するものなので、サポート体制も重要です。
サポート体制が不十分だと、トラブル時に業務が止まるリスクがあるため、サポートの質や対応スピードを確認するのがおすすめです。
積算ソフトは、積算業務の根幹を担うため、トラブル時に迅速に対応できるサポートがないと業務が止まる可能性があります。電話やリモートサポートがないと問題解決までに時間がかかったり、操作研修や指導がないと新しい担当者がスムーズに使えなかったりします。
また、積算ソフトの積算基準や単価データの更新頻度が遅いと、最新の環境で積算できなくなり、積算精度に影響してしまいます。
以下のポイントをチェックしましょう。
- 電話・メール・リモートサポートが対応しているか?
- 導入時の操作研修・操作指導やマニュアルがあるか?
- 最新の積算基準や単価を迅速に提供してくれるか?
- ソフトの操作以外にも、積算に関する相談ができるか?
コストと機能のバランスが適切かで比較すること
積算ソフトは長期間使用するため、費用と機能のバランスも重要です。
安価なソフトでも、積算基準の更新が遅いと業務に支障が出ることもあります。価格だけでなく、必要な機能やサポートがしっかりしているかを確認することが大切です。
価格が安いからといって、必要な機能やサポートが不十分だと、結果的にコストが増加する可能性があります。初期費用(イニシャルコスト)が安くても、年間保守費用(ランニングコスト)や更新費用(リプレイス)が高い場合もあるため、総額を比較する必要があります。
また、必要な機能が揃っておらず、追加オプションでコストが増えるケースもあるため注意が必要です。
以下のポイントをチェックしましょう。
- 初期導入費用・年間保守費用・更新費用などの総額を比較する
- 必要な機能が揃っているか?(無駄な機能が多くないか?)
- クラウド版とオンプレミス版のコストを比較する
土木・建設工事向け|おすすめの積算ソフト「ゴールデンリバー」
おすすめの土木積算ソフトとして「ゴールデンリバー」をご紹介します。
「ゴールデンリバー」は、1997年のリリース以来、全国の多くの建設業に導入されている積算ソフトです。
土木積算ソフト「ゴールデンリバー」の概要
「ゴールデンリバー」は、公共工事における積算業務の負担を軽減するため、豊富な機能とお使いいただく地域にすぐに馴染む充実したデータを搭載。積算設計図書の条件等を読み取り、自動積算を行えるほか、整合性をリアルタイムでチェックできます。
これにより、積算担当のスキルの差を補い、積算の精度向上に貢献します。
土木積算ソフト「ゴールデンリバー」がおすすめできる理由
「ゴールデンリバー」をおすすめする主な理由は5つです。
理由1:電子設計書の取り込みは精度が高く、処理スピードが速い
「ゴールデンリバー」は、発注機関から提供されるPDFやExcel形式の電子設計書や関連図書の取り込みに対応しています。設計書の取り込みは30秒ほどで完了し、待ち時間なく、すぐに積算結果が入力画面に反映されます。
また、「ゴールデンリバー」は、全体的に動作のレスポンスや処理スピードが速く、ストレスを感じることのない快適な操作性を実現しています。そのレスポンスの良さは、一度使うと手放せないほどです。
理由2:省力化と業務効率につながる自動化機能が充実している
「ゴールデンリバー」は、電子設計書の取り込みによる自動積算機能を搭載しており、取り込むだけで積算の7~9割が完了します。取り込みの精度も高く、費目や数量、条件などの入力ミスを未然に防ぐことができるため、積算精度の向上に繋がります。
さらに、入力画面と電子設計書画面の連動表示や、経費のリアルタイム表示、入力漏れやミスの可能性を促す積算チェック機能、履歴からの選択入力などの自動化機能が充実しています。これらの機能により、経験やスキルに依存せず、誰でも精度の高い積算が可能になります。
理由3:手厚いサポートで積算業務に集中できる
「ゴールデンリバー」は、電話やリモートによる操作サポートを提供しており、問題発生時にも迅速に対応可能です。
また、積算基準や単価のデータは更新頻度も高く、定期的なダウンロード提供により常に最新環境で積算業務を行えます。
さらに、サポート対応を行うスタッフは、「ゴールデンリバー」に関する操作だけでなく、積算業務全般の質問や相談に対応します。長年の開発・販売実績を活かしたアドバイスを提供し、積算業務中の疑問や課題の素早い解決を支援します。
理由4:一定のランニングコストで長期的に安心して利用できる
「ゴールデンリバー」は、積算基準や単価のデータの更新、ソフト本体のバージョンアップを含む「データサポート会員制度」を採用しています。会員契約を継続することで、最新の積算基準・単価データ、最新版ソフト、サポート対応(電話・リモート)、データのクラウド保存などのサービスを追加費用なしで利用可能です。
別途更新費用や再契約費用がかからないため、長期間にわたり安心して利用できます。
理由5:専用クラウド保存で安全にデータを共有・保管できる
「ゴールデンリバー」は、企業の資産となる工事・設計書データや自社単価データは専用のクラウドに安全に保存できます。これにより、社員間のスムーズなデータ共有のほか、遠隔地からのアクセス、災害・機器トラブル時のデータ保護、データ管理の手間の軽減、柔軟な働き方にも対応でき、より安全かつ効率的な運用が可能です。
ゴールデンリバーと無料積算ソフトとの決定的な違い
「ゴールデンリバー」は、公共工事の入札における工事費を算出するための積算ソフトです。
残念ながら、現時点では、積算ソフトの一部の機能となる経費計算などの無料ツールはありますが、公共工事の入札に対応できる無料の積算ソフトは存在しません。
国や自治体からの発注による工事では、信用のある企業の受注が求められます。積算に必要な基準やデータの利用には一般的にはライセンス費が発生することから、無料での提供は難しく、仮に無料ソフトで積算が行えたとしても、積算結果の精度や信頼性には不安が残ります。
「ゴールデンリバー」は、確かな積算基準や単価データ、長年の販売実績と検証を重ねた独自データを搭載しており、積算担当の入力負担を軽減しながら、精度の高い積算を実現します。
さらに、設計書の取り込みによる自動積算や、入力ミスを未然に防止するチェック機能など、便利な機能が充実し、業務効率化を促進し、建設業界の人手不足解消にも貢献します。