建もの燃費ナビ省エネ住宅設計支援ツール

開発経緯

「建もの燃費ナビ(タテモノネンピナビ)」の開発について

一般社団法人パッシブハウス・ジャパン 代表 森 みわ 氏
エコハウスのものさしが必要では?

エコよりもなによりも、光熱費が安い家を買いたい人はそういう選択もありだと思います。
でもエコハウスを買いたかった人が、そうでないものを買わされたという事があっては大問題です。市場にはさまざまなエコのキャッチフレーズが飛び交いますが、"太陽光発電で年間売電額"とか、"高断熱高気密"と歌われていても、どれ程エコなのか、さっぱりわかりません。
あれもこれも付いているとか、省エネ製品のてんこ盛りがエコハウスとして売れていったり、営業トーク次第でエコハウスになる、といった事態を回避するために、もっと公平で分かりやすいエコのものさしが必要ではありませんか?

ヨーロッパではエネルギーパスが義務

たとえば建物が使われている間に発生するエネルギー消費量を、車と同様に"燃費"表示してみると、省エネ住宅を選ぶ側としては大変分かりやすくなりますね。
ヨーロッパではドイツを筆頭に建築物全般の燃費ラベル(エネルギーパス)が義務化されており、消費者が省エネ住宅を購入するときのとても重要な判断基準として活用されています(住宅の燃費では、一般的には冷暖房、換気、給湯、照明、調理に必要なエネルギーが対象となります。家電の省エネ化は建築側の役割ではないのと、住まい手の生活習慣によって大幅に変動するため、建築物の燃費の対象には含まれていません)。

EUのエネルギーパスとは
日本のエネルギーパスの動きと「建もの燃費ナビ(タテモノネンピナビ)」の誕生

日本でもドイツをはじめとするEU諸国に導入されたエネルギーパスに相当する建物の燃費のラベル表示を導入しようという動きが始まっています。
その際には、できるだけ制度の高い燃費計算をできるだけ少ない手間で行うことが必要です。
そのためにパッシブハウス・ジャパンが1年の歳月をかけて準備したのが、2011年11月に発売が始まった"建もの燃費ナビ(タテモノネンピナビ)"という燃費計算ツールです。

たった1年で出来上がったその背景には、1989年から20年以上の歳月をかけて開発された、ドイツ・パッシブハウス研究所のパッシブハウス設計ツール"Passive House Planning Package"が建もの燃費ナビのブレインとして動いているからなのです。
よってこのソフトにはパッシブデザインのノウハウが凝縮されており、建物が必要とするエネルギーを効率よく減らす手法を設計者が身につける事が出来たり、省エネ設備の効果や、エネルギー源の選択を反映させた建物全体のエネルギー消費量を一次エネルギー換算で正確に把握したりする事が出来ます。

「建もの燃費ナビ(タテモノネンピナビ)」で費用対効果の高い方法を探る

施工者は、たとえば同じ省エネ性能を発揮するために一番費用対効果の高い方法を探ることもできます。
計算結果は一般の人にも大変分かりやすい表示方法となっており、住宅一棟一棟のキャラクターが正確に比較できるようになっています。
たとえば同じ燃費の家でも、躯体のパッシブ性能が高いのか、それとも設備効率が高いだけなのか、はたまた太陽光発電で大量に発電して浪費したエネルギーを相殺しているのかが、一目瞭然なのです。

この建もの燃費ナビの大きな特徴として、その建物の形や立地条件を反映できることがあります。
南側に5階建てのマンションが建っている狭小地といった条件の悪い敷地に、ハウスメーカーのエコハウス・コンセプトで家を建てたところで、条件の良い"モデル棟"と同じ省エネ性能が発揮されないのは明らかな事です。
ならば最初からそのような不利な条件をきちんと反映させながら、必要最低限の省エネ性能が発揮できるような設計を行うのがオーナーにとって一番ありがたい事な訳で、そういったカスタムメイドなエコハウス作りの道しるべとなるのがこの建もの燃費ナビなのです。

公平なエコハウスのものさしを確立

この"燃費の見える化"によって、エコハウスの公平な土俵とものさしが確立されると、必然的に住宅の省エネ性能の底上げが進んでいくでしょう。
そうなると今度は燃費ゼロを跳びこして、エネルギーを生み出す家がぞくぞく誕生していくはずです。

これからのプラスエネルギーハウスの普及を見据えて、建もの燃費ナビの燃費表示はマイナスの表示まで対応できるようになっているのです。
また、燃費ナビは既存の建物を省エネ改修する際にも力を発揮します。
現状からどのように費用対効果高く性能を強化することができるのかを、設計段階で十分に検討することができます。
皆さんの家づくりにも是非、本物の省エネのものさしを導入してみませんか?

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